VR映像体験を通じて、
ストーマに関わる人々の想いをつなぐ


OSTrain-VR プロジェクト

OSTrain-VR プロジェクト
に込められた想い

“人工肛門(ストーマ)”は、大腸がんや炎症性腸疾患による大腸切除後、大腸閉塞、あるいは泌尿器がんによる膀胱切除後に、排泄が困難となった場合に手術によって腸を腹壁に誘導して作られる排泄口です。日本国内には21万人以上の“オストメイト”と呼ばれるストーマ保有者が存在し、今後もその数は増加すると予測されています。

オストメイトやそのご家族は、ストーマセルフケア技術の習得や社会生活への復帰に向けて心理的な葛藤を抱えることが少なくありません。一方で、術後入院期間の短縮によりセルフケアを習得する時間が限られることや、コロナ禍やインターネットの普及によって患者間の交流機会が減少している現状があります。医療機関や介護施設に目を向けると、医療技術の専門化が進む一方で、担当すべきタスクが増加し、オストメイトをサポートするための技術を習得する機会が不足している現状も見受けられます。

OSTrain-VRプロジェクトでは、VR体験がもつ「没入感」による共感体験や、「空間認識」による学習効果を活用し、ストーマに関わる人々の想いをつなぐことで、さまざまな課題の解決に取り組みます。

オストメイト医療従事者が協働する
ことで実現したプロジェクト

このプロジェクトを実現するためには、オストメイトが主体となった課題認識や制作協力が不可欠です。2022年に立ち上げた本プロジェクトでは、患者会と医療従事者が一体となって取り組む体制を組織し、「オストメイトの多様性を認める映像制作」、「開発によって達成すべき社会貢献」、「プライバシーの保護」などについて、時間をかけて議論を重ねてきました。また、オストメイトや医療従事者にとどまらず、行政機関や介護分野の多くの方々から寄せられたご意見に真摯に向き合い、試行錯誤を重ねながら開発を進めています。

このプロジェクトを通じて、オストメイトや彼らを支える方々、さらには「ストーマ」という言葉を知らなかった方々に向けて、前向きな未来を提供できる多様なVR映像コンテンツの制作と普及を目指しています。

 

このサイトは、JSPS科研費を受けて
2024年11月に開設しました。

若手研究24K20309
「バーチャルリアリティを活用したオストメイトの体験共有によるストーマセルフケア習得支援システム」